師走に入り、街中は忙しさを感じるようになって参りました。
一方、本年の秋は夏日があるほどで例年に比べて随分と「暑かった」ので紅葉が遅れており、暖かい地方では今、まさに見頃という地域も多くあるのではないでしょうか。
「京都・瑠璃光院の見頃の紅葉の動画を撮る」
が今年の目標だった筆者なのですが、先月の半ば21日に見頃をねらって京都は八瀬、比叡山の麓にある紅葉の名所・瑠璃光院の撮影に拝観予約をして出かけましたがその頃はまだ色づき始めでした。
「また、来年トライしよう」
と思っていたのですが、どうしてもピークのリフレクション紅葉を撮影したくて、それから8日後にリベンジ拝観予約を入れました。
まだ、ピークとは言えないものの、前回訪れたときよりも随分と紅葉が進み、むしろ、ピーク前の緑、茜色、紅、紫のグラデーションが豊かで筆者的には満足のいくものになりました。
さて、その瑠璃光院ですが、机に反射するいわゆる”リフレクション紅葉”がSNSなどでバズって「一生に一度は行ってみたい憧れの紅葉スポット」として人気が定着しているのもあり、この時期大変な混雑をします。
その中で撮影するには、場所取りからマナーまでそれなりに前情報があったほうが、これから訪れたい、撮影したいという方にとってはやりやすい、と思ったので、あくまで「動画を撮る」という観点からになりますが記事にしておきます。※「静止画」でも使える話はあるかと思います。
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瑠璃光院への拝観予約・アクセス
まずは、初歩的なことですが、瑠璃光院の拝観は春季・夏季・秋季それぞれに特別拝観期間があります。基本、予約がなくても行けるのですが、混み合う紅葉の時季は予約者限定の時期もありますので、瑠璃光院の公式ホームページで確認してみてください。予約が必要な時期なのに予約なしで拝観しようと直接来てしまって入れない、という方も散見しましたので。(当日の突然のキャンセルで入れるかもしれませんが現場も混乱しますし、当てにしない方がいいでしょう)
それから、アクセス方法ですが、これは瑠璃光院に駐車場がありませんし、最寄り駅の八瀬比叡山口の近くに若干の駐車場はありますが、混雑していることも予想できますし、周辺の渋滞や駐車のために拝観予約時間に間に合わないなどということを避けるためにも、やはり、叡山電車が無難かなと思われます。
叡山電車で出町柳駅からですと、7駅15分程度。さらに、一日乗車券などお得な切符を購入して、貴船、鞍馬方面にまで出かける予定を組んでおくと、市原駅~二ノ瀬駅間に「もみじのトンネル」の景観も楽しめますので一挙両得という感じですしね。
場所取りという撮影戦争
筆者もすべての時間にその場に居合わせたわけではないのでわかりませんが、紅葉の拝観予約時期の、瑠璃光院のホームページで見られる予約画面についてはいずれの時間も満員表示されていましたので、まず空いているというのは考えにくいと思います。少なくとも2回の拝観はそれぞれ11時、10時の枠で予約しましたが、朝から超満員でした。
で、ここで気になるのがそんなに混雑しているのに、そもそもいい位置で撮影の場所取りができるのか?ですよね。
これは、待てばなんとかなる、という感じです。
私の場合は、後ろに並んでから数分から10分くらいでお目当てのスポットに入れましたが、時間帯によっては厳しいときもあれば、楽なときもあるかも知れませんが、現場は撮影戦争ともいえるでしょう。
フラッシュや三脚、一脚などは禁止になっていますが、机の上にカメラを置くのはいいというのはスタッフさんが言っていたので大丈夫でしょう。ただ、傷つけたりすると後は知りません。
せっかくの紅葉とお寺という本来静謐な場ではありますが、列に割り込んでくる人がいたり、フラッシュを光らせたり、長い時間撮影スポットに居座ったりする人もいます。注意されていたりしますが、それでも管理はできませんよね。
もれなく私の場合もですが、私の場合、動画撮影なので写真よりは時間が必要だったりします。そこで、基本は60P(2.5倍スロー)で撮影して所用時間を1/2.5にするのと、1、2分撮影したらその場を立ってまた後の列に並んで、それを一度繰り返して分散するようにしました。つまり、合計4〜5分の撮影時間で、2.5倍のスロー撮影なので約15分の動画素材が収録できたことになります。
カメラとレンズ選びについて
みなさん、いろんなカメラを持って来られており、スマホの方もいれば、ミラーレス一眼のようなものの方も。正直、どちらでも撮れますが、まだこういう絶景を撮る際のスマホの写りには納得していない頑固な筆者はというと、SONYのミラーレス一眼、α7iv×2470GM2(屋外)と同じくFX30×SELP1020G(屋内)の二刀流で撮影に臨みました。首にストラップでα7iv、右手にFX30という感じで動画を撮っている間に静止画をパチリと。二刀流でいったのは、レンズ交換の時間もスペースもないなかで、スチルの撮影と動画の撮影を同時に素早く行いたいから。APSCで軽量でコンパクトな組み合わせのFX30×SELP1020Gはこういうときにこそ力を発揮します。
いずれもズームレンズにしたのは、やはり、この混雑状況ですので画角を考えて単焦点でいろんなところから撮影するというのはまずできませんし、対象が自然風景や建物なので基本絞って撮ることが多いので十分かなとは思いました。
リフレクション紅葉におすすめは、やはり、広角(20mm以下)・ズーム
SNSなどで見かけたものに、もっと広角を持っていけばよかった、というものがありますが、机に写るリフレクション紅葉を撮るためにはワイドな画角があった方がいいのでフルサイズ換算で20mm以下はオススメしたいですね。ただ、あまり広い画角にしても、脇に居る他の撮影者が写り混んでしまいますのでクロップすることになり得ます。
カメラ側の設定(ISO,f値,シャッタースピード)
リフレクション紅葉を撮る際のカメラ側の設定ですが、先ず使用カメラは動画用APSCのFX30×SELP1020Gですので、フルサイズよりもセンサーサイズが小さい分、暗所ノイズが気になります。
設定は、前述の通りまずシャッタースピードは4K60P(2.5倍スロー)の固定。必然的に24Pや30Pに比べて暗くなりますし、自然風景を撮るので解像感を高めるためにそこからf値も1〜2段絞ってf5.6〜11の間で撮りますのでその分ISOを上げることになります。
FX30には、デュアルISOといって、log撮影(Cine-EIモード)でISO800or2500に設定した場合にノイズを最小限に抑えられるので、ここではISO2500まで上げて撮りましたが、光量が十分に確保できる屋外の庭を撮る分には問題なかったです。
ちなみに、FX30は4K120Pが撮れるというのがひとつの売りなのですが、その際に画角が1.6倍ほどクロップされる上に、シャッタイースピードを速くすることはイコール取り込める光量が減るわけでノイズリスクが増えますのでこういう場面では使いません。
せっかくの撮影機会をよりよいものにするために言えることがあるとしたら、以下です。
•レンズの性能最適化: レンズは開放値(最小F値)では周辺部の画質が低下しがちで、回折現象が発生するほどの高F値(絞りすぎ)ではシャープネスが失われる
•回折の影響: 特にF11以上の絞りでは、回折による解像感の低下が顕著になる場合がある
解像感を高めるためにf値を絞った、と前述しましたが、瑠璃光院の庭の写真、動画は紅葉のグラデーション、ひとつひとつの葉っぱの解像感が売りになると思いますから、やはり、ボケよりも解像感優先したいところ。私も相でしたが、初心者の方はなんでもかんでもボケる開放で撮ってしまう傾向があると思いますが、念頭に入れておくといいかもしれませんね。
ちなみに、ホワイトバランスはこれも現場でグレーカードなどを用いての細かい設定はできませんし、この日は晴れているのと、屋外の庭がメインなので太陽モードです。秋の茜色の風景を表現したいですし、極端に低いケルビンに設定してしまって色味が寒色に偏らなければいいか、とだけ考えていました。(FX30はlog撮影時、オートホワイトバランスが使えないようなので)
log撮影で後々、davinci resolveで色編集
撮影は後々、Davinci Resolveで色編集するためにすべてlog(FX30のCINE EIモード)で行っています。FCPなどでも色編集はできますが、ちょっと操作画面の見た目が複雑だし、専門用語も多いし、とっつきにくいソフトではありますが、細かい設定で階調豊かな色彩を表現するにはDavinci Resolveが向いていると思うしで今も学習中です。
カラグレ素人の筆者が偉そうなことは言えませんが、ひとつひとつのカットをグレーディングすると膨大な時間と労力を要しますので、基本、結構手抜きするようにしています。作業時間の短縮も考えてlog素材にいきなりLUTを当てて、その後、コントラストや色温度を全体調整したあとで、暗部、中間部、明部を上げたり下げたりして、最後に彩度を上げたりカラーブーストを使って特定の色を強調したりするスタイルが多いです。
それで、どうしてもイマイチだったらイチから自分で作りあげるしかない、といった感じですが、では、イチから自分で作ったら理想通りに行くかというと、逆に迷宮入りしたりすることもあるので何が正解かはわかりません。
ただ、davinciでの最終仕上がりを出口としてイメージしながら撮影に臨むことで、現場での光の取り方(光量・角度・WB)などの考え方も替わってきますから、やはり、ちょっと高度になってきますが、log撮影や色編集まで覚えるとカメラの楽しみもぐっと増えると思います。
ということで、瑠璃光院のリフレクション紅葉を撮影するために筆者が気をつけたことをまとめさせていただきました。
もっといいやり方をご存知の方も多くある思いますが、反面教師的な部分も含めて何かしらの参考になれれば幸いです。
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