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国家ブランド指数 日本首位で考える2025年からの日本の立ち上がる兆し

23年11月に発表になってからしばらく経過したもののあまり日本国内で話題になっていませんが、国際的調査機関、世論調査のスペシャリストといわれるイプソスの調べによると「アンホルト-イプソス国家ブランド指数 (NBI: Anholt-Ipsos Nation Brands Index)」において日本は2023年首位になっているのをご存知でしょうか。

引用元:イプソス株式会社webサイト

 

「アンホルト-イプソス国家ブランド指数 (NBI: Anholt-Ipsos Nation Brands Index)」

統計データ、いわゆる(先進国と言われる特定の少国のルールで勝手に決められたランキングという)相対指標にどこまで価値があるの?と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、調査機関はそれぞれ異なりますが、長らくGDP世界第2位だった地位を中国に譲り、世界幸福度ランキングとか時間あたりの労働生産性などは先進国最下位クラスばかり、さらには昨今の急速な円安で日本の価値が下がった!なんてことまでステレオタイプにささやかれること多かった中でなんだか明るい感じがします。

さてそのNBI指数ですが、こちらの評価は6つの指標(輸出、ガバナンス、文化、人材、観光、移住と投資)でなされるようで、その中で日本は23年度首位になったそうです。(22年は2位)

確かに日本の株価の高騰、インバウンドの人気、それから映画、アニメ、ゲームなどのエンタメの海外でのめまぐるしい活躍を見てみると国家、あるいは日本ブランドはこれまで以上にその価値は見直されて注目されているのは誰の目に見ても明らかに思えますが、それでも当の私たち日本人はというとこれまでの30年間で実質賃金(可処分所得)は下がり続けていますし、幸福度や時間あたりの生産性などの指標においても先進国最下位といわれ、国民ひとりひとりの単位としてそのブランド価値に見合う富や幸せに還元できているのか、というと疑問も残ります。

これからの庶民の働き方とのチャネルを考える

本記事では、価値が高まっている日本というブランドを理解して、私たち民間人が各々の単位で豊かになれるようにこれからどのように事業をデザインしていくべきか、という視点でざっくり考えたいと思います。

「日本が今、地球上で最も称賛される国になっているという事実は、ドイツと米国を除けば、このポジションに到達した最初の国であり、世界のソフトパワーバランスが目の前で変化していることを裏付けています。新しい秩序の時代、2023年アンホルト-イプソス 国家ブランド指数は、アジア世紀が幕を開けた最初の紛れもないサインです。」

国家ブランド指数の創設者 サイモン・アンホルトCEO

と、海外から見ると確かに日本の国家としてのブランド価値は今、高く見えることでしょう。

しかし、円安による物価高騰と増税、また株価高騰の恩恵を受けられているのは一部のグローバル企業、外国資本や投資家であり、日本の労働者の賃金はというと過去30年下がり続けています。さらにそこから何かを利用する度に手数料、利便性の恩恵の裏腹には必ずサブスクが紐付いていて、いわゆる可処分所得は急速に目減りしています。

つまり、イプソスの指標で世界一に輝いている国家ブランドも裏を返せば、主に投資家から見て”あり得ないくらい日本は美味しい国””文化資本という潜在的な価値の観点から長期的な成長の見込める投資先”ということでもあるとも言えるかもしれません。

あくまで経営・経済的な観点からではありますが、企業の99.7%である中小企業が小さな商店がこのままの経営を続けていて10年先生き残っているか?つまり、高齢化、人口減少、そして貧困化する日本市場にとどまっていて身内ビジネスをこのまま展開続けら得るかどうか。国内市場で今後も成長が見込める事業ももちろんありますが、旧態依然とした業界ほど無理ゲーとなってしまっていくことま誰の目にも予想できます。(現状まだ食えている企業もあるわけですがあえて過去形で書いたのは今後の趨勢から鑑みた危機感からです)

灯台もと暗しともいうように日本にいる日本人がその価値に気づいていないことだったりして、だからこそせっかくのブランドを安売りするのではなく、また一部の資本家や知識階級だけの専売特許とせず文化資本の活用の方向にエネルギーを注いでいきたいものです

ここで一概には言えませんが、日本のエンタメが先んじて今私たちにその兆しを見せてくれているといっても過言ではないでしょう。

海外の日本旅行者を見ても、日本のエンタメで日本のことに興味を持ち、またぞっこんファンになるというケースもあり、海外の方の方が日本人らしかったりして、哀しいかな、そこではじめて日本って凄いなと思ってしまったり、、、

円安の影響下で海外にとって安い買い物ができるようにになっていることも集客効果を高め未来のプロモーションにもなっているとも言えますので悲観的になる必要はありません。

2000年代低迷期だった日本のゲームは、無理に洋ゲーに追従していたことで海外からの評価も低かったと言われていますが、2010年代後半に入ってそのことを自覚し原点回帰していったことで復活していったといいます。2024年に入って任天堂の時価総額が10兆円を超えたりするニュースが入りましたが好調の背景にはそれがあったからだと言えるでしょう。

また、20年代に入ってからはアニメ「鬼滅の刃」やジブリ映画「君たちはどう生きるか」や東宝の「ゴジラ−1.0」、それから真田広之氏プロデュース・主演のディズニー+の「SHOGUN」と立て続けに日本のエンタメが海外市場で活躍する根底には日本のことを知らない、もっと知りたい海外の市場、あるいは新世代の若者、それから日本のことをもう一度理解したい、改めて学び直したい日本人、それから素人から目利きの人にとっても納得の作品を作り上げたことが大きな功績だった、とも言えるでしょう。

彼らの先駆的な活躍から私たちが学び得ることがあるとしたら、海外からの日本のブランド評価が高まる一方で、いわゆる外国人にとって今、日本ブランドのどこに響いているのか?今後はどこに興味や関心が集まるのか?を考えてそれぞれの事業のデザインに落とし込むところまで考える情報になっているということではないでしょうか。

まず海外の文脈で勝負できるように、次に国内で。

さて、そのような中で私たちが戦略的に経営を考えるのならば、商売のチャンネルをインバウンドも含め海外市場にシフトすることはもはやまず初めの前提条件。逆に言えば身内ビジネスは趣味の範囲ということでもあります。

日本人相手にウケてから海外市場のことを考えるのではなく、海外で通用するレベルを考えた上で日本人相手にも納得の経営をすることが大前提になります。

とはいえ、本記事は前述の通り、国家ブランドの価値が高まっている日本という国を、私たち民間人は各々の単位でこれからどのように事業を営んでいくべきかを考察の範囲とする以上、いきなり海外市場というのもインフラやセキュリティの観点から参入が厳しいという方も多いでしょう。

その中で時間と場所の制約から自由なオンラインにチャネルを持つことはハードルが低いので、とりわけデジタルコンテンツを活用することは必須になってきます。

「Entertainment Contents ∞ 2023 【参考資料集】 – 経団連」によれば、国内の成長率は約3%未満と鈍化していますが、アジアの成長率はというと中国、インドネシアなどは10%超といわれ、単価こそ国の購買力によってギャップがあるとはいえ伸びしろを踏まえてどのチャネルに照準を当てるのかは、これまでチャネルの中で重箱の隅をつつくよりも待ったなしで優先すべき事項になったという印象です。

インターネットが普及した今ですから、物流インフラを構築できていない小さな企業や商店物にとって輸出入は難しくても、ダウンロード可能なデジタルコンテンツなら販売可能です。

デジタルコンテンツを直接販売するビジネスモデルでなくてもテキストよりもはるかに多くの情報量を入れることのできる映像コンテンツなどはその特長から時と場を問わず世界中の人に発信ができるわけですからブランディング、PRに使わない、力を入れないというのはそれだけで機会損失どころかこれからの国際間の購買力の変化に伴って日本の事業者が生き残るのは難しいでしょう。

いや、当たり前のことでしょ?と言われてしまいそうですが、そう考えている人は多くてもそのことを前提に本腰を入れてすでに事業を営めていますか?と言われると極端に数が減るのではないでしょうか。

海外市場やオンラインへの移行は今となってはもう新しいことでもなんでもなく、ビジネスだけではなく文化の保存という意味でもその必要性を本気で自覚する必要があります。

円安を機会にインバウンドには日本の魅力を広く知ってもらうこと

もうひとつ。

日本もインバウンドを促進すること自体は悪くないと思います。円安は海外からの観光客に対してもブランド認知度向上を後押しするという効果もありますし、長期的な展望で見たときにまずは認知度の向上という意味で今は日本の土を踏んでもらうオファー価格と考えたらの場合です。

しかし、いつまでも安く買われっぱなしで事業者が潤わないというところ甘んじているわけにもいかないでしょう。そもそも受け入れる器が疲弊してしまったら元も子もありませんから、そこは戦略も必要です。戦略というとどうもインバウンド客から搾取するみたいな発想に見えるのでここは長期的に日本を好きになってもらうためのスタンスとしての売り手、買い手というビジネスだけの関係性だけではない日本ならではの和略、とでもいいましょうか。

ただ、インバウンドが加熱している現在のようなものはそのブランド価値を保つという意味でやはり調整していく必要はあるでしょう。そもそも静謐なことに価値がある歴史・文化遺産もほとんどがインバウンドで大混雑で有り難みが薄れるのは結局のところブランド価値を貶めることにもなります。そこは、ブランディングという観点が重要で、今後は何でもかんでも受け入れるというのではなく、客選びも重要になってくるでしょう。

私はたまたまとある国からのインバウンド客が奈良公園の鹿を蹴っている哀しい動画を見てしまったのですがやはりこのようなことはさせない空気感を持つ必要はありますし、マナーの悪い人はお断りしていくのもブランドです。

安いと言われ続けたままではエブリデイロープライスになってしまいますからどこかのタイミングで国として業界としてチャネルを絞っていく必要があると思います。

ブランド価値を育てていくためにはチャネルだけではなく価格の決定は重要になってきます。

そもそも、富裕層インバウンド向けの外資系高級ホテルが軒並み攻勢をかけてきているにも関わらず、日本のB級インバウンドサービスまで安売り状態が続くことは異常です。

しかし、インバウンド向けの事業者は値上げをしよう、それなら日本人向けの価格はどうするの?二重価格の問題も露呈してきています。ある程度相場観というのができあがっている業界であり、これまでは国内の観光客に支えられてきた商店が観光客向けのぼったくり価格で値上げして同様に販売するなんてことはまだ風習としてないものでしょう。あるほど業界の足並みというものもあります。一社だけが改革を行なったとしても厳しいものがあるでしょう。かといって業界団体の意思決定を待っていてばかりもいられません。

幸福王国、ブータンは観光税を1日ごとに一律支払うシステムがあります。しかし、これはあくまで観光を通じて国の産業が潤うように、環境保全のための投資目的があります。

その税収の安定性は度外視ですが、国民の消費生活を低迷する税金を課するくらいならば先にインバウンド税に注力すべきだとも思います。それから事業者自体が主体的にインバウンド向け限定で別途課金するのはOKだと思います。(高くても来たいと思う動機をクオリティを向上させることでまた一段日本のライフステージも上がるでしょう)

日本の観光に対しては、国民が自国の歴史や文化を理解するものに対しては観光を促進するために費用面での負担は減らし、インバウンド観光客に対しては、「安い」と言われているわけですから、今後はより価格面以上に日本のブランドに価値を感じていただけるための値決めを行う必要があるかと思います。それは今の「安い」と感じる状態をよしとして続けることではありません。

2025年からの日本、新時代の幕開けに向けて

グローバル大企業だけではなく小さな商店でさえもグローバル市場をまず最初の前提条件で考える必要が出てきた現代においては、国家ブランドの調査データでも示されるように世界最高の資産を持っている日本はその文化資本の魅力、そしてそこに潜んでいる歴史を紐解き、紐解いていく時代に入ってきたと思えます。

国民教育の父として知る人ぞ知る森信三さんという方が生前、

2000年から2015年まではどん底だが、2025年に日本は立ち上がるきざしが見えるであろう。

2050年になったら列強は日本の底力を認めざるを得ないであろう。

という言葉を残しておられたそうですが、確かにある種予言に感じるほどにその兆しが見えてきていますからね。

外国語なんて学ぶのは後でいい、自動翻訳でも十分、というような暴論は言いませんが、それでも、グローバル市場において生き残っていくためにはこれまで以上に自国の歴史・文化を学んぶことに比べたら必要条件ではあるものの絶対条件でないでしょう。

それよりも、日本企業、日本人としてのアイデンティティを明確にすることはグローバル市場においては選ばれるための絶対条件になってきます。

国家ブランド価値が高まったことで問われるのは、その国家にいる国民がその国民たる理由を自覚できているかどうかなのではないでしょうか。

WALAB.に理念みたいなものがあるとしたら、それは優生思想みたいなものあるいは直接的ではなくてもそれを助長するような短絡的なナショナリズムは人類史に鑑みても恥ずべきところと考えています。しかしながら、日本人にとっては日本の魅力を再発見していただき誇りを感じていただけるものとして、それから海外からはこれまでの日本への見方と等身大の日本の魅力のギャップを埋めるためにできる媒体でありたいと思っていますね。

 

 

 

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