起き上がり小法師、は福島県会津で生まれた縁起物。
毎年1月10日の十日市という初市で家族の数+1個購入して神棚に飾るとか。
風車や初音などと並んで「会津三縁起」ともいわれるそうだが、あの、倒しても倒しても起き上がってくる不思議なおもちゃは、現代風のキャラクターグッズとしてアレンジされて売られていることもある。
また、昨年、Nintendo Switchで発売されギネスに載るほどの記録的なヒットとなった”ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム”にも、アイテム(ゾナウギア)としても登場したりする。
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現代において元来の民芸品である起き上がり小法師のことを知っている人がどれだけいるのかは分からないが、こうやっていろんなキャラクターグッズからゲームのギアにまでさまざまな世界でアレンジされるのは、玩具としてユニークさ、シンプルな機能やデザインと完成されていて普遍性を持っているからだろう。
ひとこと私見を付け加えるとするならば、キャラクターグッズとしての転用ならまだ凡人でも理解ができる応用の範囲だと思えるが、Nintendoがティアーズ オブ ザ キングダムの中でゲームの中では組み立てパーツと見立てて使ってしまったのだが、これもお家芸である”枯れた技術の水平思考”だろう。
ゾナウギアは板などとくっつけて遠くまで飛ぶためのジャンプ台にもできたり、敵群を殲滅するロボットのパーツにもなったり、組み合わせは無限であり、アメリカのメリーランド大学の機械工学の授業でも取りいれられ始めたとか。
よく、現代アートの世界の三大要素として”インパクト・コンセプト・レイヤー”が問われるが、それをNintendoはゲームの世界で落とし込んでいるといえる。
この記事でいうおきあがりこぼしのように日本を感じさせるものがレイヤーに置かれているが、それがゲームの世界観を左右するほど全体で露骨に主張しているかというとそうではなく、ゲーム内に随所に主張控えめに織り込まれているという印象で、そこがかえってその日本のものづくりらしさも引き立たせているように思える。
かなり粗野な言い方で恐縮だが、Nintendoが京都に本社を置く世界的な会社となっているだけに、”地球の中心は日本、日本文化の中心は京都です”というような、日本人のプライドを含んだコンセプチュアルなメッセージとしても私は受け取れなくもない。
ネタバレになるし、最も感動するところなのでここでは直接記載しないが、ティアーズ オブ ザ キングダムや前作のブレス オブ ザ ワイルドにおいて、ラスボスを倒した後にゼルダ姫が主人公リンクに向けた最後のセリフなんかは、目的語であるリンクをユーザー自身に置き換えて二人称的に感情移入するだけではなく、日本文化、もっといえば鈴木大拙が云った日本的霊性に置き換えて三人称として受け取ってみるとさらなるインパクト、ここで始めて単なるゲームを超えたものなるのではないか、と思っている。
なお、この1月10日の報道で日経平均株価は前日9日の終値より678円高い34,441円とバブル期以来34年ぶりの34,000円台となったそうだが、中でもNintendoが約17年ぶりに時価総額10兆円を超え際立っていたが、今も昔もNintendoを支えているクリエイティビティの真価とは何かを振り返ってみた。
ゲームウォッチ、ゲームボーイなど任天堂ゲーム黎明期の立役者、故・横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」のヨコイズムといわれる信念は今も商品開発のDNAとして継承されているというが、これは何も任天堂だけに留めておくのではなく、すべての業界で活用できる”枯れない思想”だといえるだろう。
さて、ゼルダ愛、Nintendo愛が過ぎて話は脱線したが、2024年は年初から能登地震にJAL飛行機事故にショッキングなニュースが続いているが、起き上がり小法師のごとく、一日も早く立ち直ることができるように、そのときどこ自分たちでできることを探していきたい。
何より、被災者の方々には心よりお見舞い申し上げます。
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